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『神林長平トリビュート』読書感想文

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神林長平の作品からタイトルだけ持ってきて、各作家がそれぞれに選ばれたタイトルで短編を書くという神林長平トリビュート。失礼な話、こういうものはトリビュート元の作家が亡くなってからやるような企画だと思っていたので、「なんで今この企画が」と不思議がったりもしていました。しかし実際読み始めてみて、「ああ、これはいい企画だ」と思い直しました。ただの話題作りの本じゃない、神林長平を読んできた世代の作家たちによる神林SFへのラブレターみたいなものだなと感じながら読んでいました。

神林氏による序文に続いてトップを飾る一遍はデビュー作『狐と踊れ』をカバーした桜坂洋。「まあ最初はこれだろうな」とかしこまって読み始めたら「おいおいおい…」と失笑。『狐と踊れ』だけにとどまらず他の作品から持ってきた"神林ワード"を散りばめた良い意味でバカなことをやり尽くしたSFコメディがそこにはありました。タイトルだけ持ってきてお利口さんにまとめただけの本じゃねぇぞとでも言いたげなその作風は、初っ端から読むほうの気を緩めてくれた短編でした。ここから先はそれぞれの作家が趣向を凝らし、オリジナル版の要素をシチュエーションや見方を変え再構成した『七胴落とし』、『死して咲く花、実のある夢』、『魂の駆動体』、『我語りて世界あり』。元の作品のサイドストーリーを神林風に書き加えた『完璧な涙』や『敵は海賊』。そしてラストを飾るにはこのタイトルしかないであろう『言葉使い師』。全体として元ネタのチョイスがとても良かったなというのが最後に思った感想で、例えば『敵海』や『完璧な涙』など神林SFの中でもキャラクター自体の主張が強い作品は原作のキャラを壊さず外伝に仕立て上げ、それ以外の世界観重視の作品は元のテーマを残しつつ各作家が好きにぶち壊して作り直しているという、オリジナル版のおいしいとこ取りがうまく行ったんじゃないかと。

すべて3~40ページ程度の短編になっているので読みやすく、元ネタを忘れていても充分楽しめるいいアンソロジーだったと思います。物量的にも内容的にも多少物足りない感は否めませんが、こういった企画でこれほどの作品が集まってきたというのは神林ファンとしては嬉しいですね。これをまた刺激に神林氏本人の筆も進むことを祈りつつ…

| | 18:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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