
これで一応須田51氏ディレクションでシルバー事件に関連するゲームは『ムーンライトシンドローム』から『killer7』まで一通り遊びましたが、やっぱりイカレたゲームを作る人だと思いました。そして最高に面白いです。ぼくの中での面白さの順位としては不等号厨的に表すと『花と太陽と雨と』>『シルバー事件』>『killer7』>『ムーンライトシンドローム』って感じで、『花と~』のシリアスさとコメディ分のバランスとクラシックアレンジを中心とした音楽群が一番好みでした。さらに今回『シルバー事件』をプレイしたことでようやくFSRとキラーで意味不明だった部分が理解できるようになり、さらに楽しくなりました。
というわけで『シルバー事件』のレビュー。ジャンルとしては刑事ドラマ風のアドベンチャーノベルゲームでしょうか。あまり細かく説明しても実際やってみないことにはさっぱり分からない作品なのでゲーム内容の詳細は省きますが、とにかくサイコサスペンスチックなノベルゲームだと思っていただければ大体間違いないです。ゲームオーバー等は一切無く、3Dダンジョン型のアドベンチャーパートも挟みつつ物語を読んでいく形式で、2人の主人公から見たそれぞれの視点で各5章、合計10章の物語+プロローグ&エピローグという構成になっています。フィルムウィンドウと呼ばれる演出方式で、複数のウィンドウを画面に表示してシーンに応じてそのウィンドウの位置や形を変えて提示するという一見ゴチャゴチャした画面ですが、これが複雑なシナリオとシリアスな展開に上手い具合にマッチしています。さらにBGMに合わせてウィンドウの背景のデザインが動き、そのデザインも章ごとに全然違うものに変えてあるという凝りよう。隅から隅まで個性あふれるデザインに埋め尽くされており、須田剛一というディレクターのまったくブレることのない一貫したゲームデザインへのこだわりが見て取れます。ここまで強烈でアバンギャルドなゲームというのもなかなか他にはなく、好きになる人はとことん好きになるゲームだと思います。
『シルバー事件』に限らず須田剛一ディレクションのゲーム、いわゆる須田ゲーを評価するにあたって避けて通れないのが万人受けは一切しないという1点で、プレイした人の感想に“須田剛一あるいはグラスホッパー信者補正”というのが非常に大きく効いてくる作品なんですね。周りにも1人2人いませんか?よく分からない難しいゲームを勧めてきて「このゲームは絶対一般受けしないけど分かるやつには分かるから」とか言って悦に入る人。ハイぼくですね。このレビューもそんな須田51信者の戯れ言だと思ってもらって結構。遊んでみて面白さがよく分からなかった人はそれでいいんです。誰にとっても面白いゲームじゃありません。この理不尽な投げっぱなしジャーマンを食らってそれでも理解して付いてこられる、あるいは付いて行けていると思い込める人にとっては最高のゲームとなるのは間違いないんです。迷わずやれよ!やればわかるさ!愛をありがとう!
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意味の分からないレビューでさっぱりだって言う人はオープニングムービーだけでも見るといいよ。
http://www.youtube.com/watch?v=9mxFvZcDK7oこれはプレステの電源を入れるたびに一切飛ばさず毎回ゲームを始める前に見たくらい好きで、もう何度見たか分からない。今までプレイしたすべてのゲームのオープニングのなかで間違いなくベストオブベスト。音楽はグラスホッパーの天才コンポーザー高田雅史さんです。